生産能力過剰で競争が激化する製造業の市場において、企業の中核的競争力は単なる生産規模ではなく、秩序立った運営管理能力へと変わっています。体系管理は企業にとってオペレーティングシステムのような存在で、目に見えないながらも、研究開発、生産、購買、品質管理など各部門を効率的に連携させ、コンプライアンス基準を守るだけでなく、長期的な成長の可能性を引き出します。
本日は四つの視点から、正村体系管理の核心的な考え方を解説いたします。
1 体系の構成
当社の管理体系は品質体系と正村規則に分かれています。

1.1 品質体系
IATF16949 及び ISO9001 品質管理体系規格で定められた全ての規定を含みます。
例えば、IATF16949 の 8.5.4.1 条項では在庫管理に先入れ先出し原則を適用するよう定められており、この倉庫管理に関する基準要求を管理方針に落とし込んだ『資材入出庫管理手順書』は品質体系の範疇に属します。

1.2 正村規則
品質体系以外の全ての管理規定を指します。
例えば、財務管理では事前・事中・事後の三段階でコスト分析と管理を行う必要がありますが、この内容は品質管理規格に定められていないため、この要求を制度化した『財務管理手順書』は正村規則に分類されます。

2 管理方針
プロセス重視の考え方を採用し、全ての管理要素を各業務プロセスに組み込んで統一管理を行います。
例えば、人員採用に関する管理要素を人事管理プロセスに統合して管理します。当社の全管理要素は例外なく対応する業務プロセスに組み入れられています。

3 プロセス重視の運用
企業内で発生するあらゆる問題は、いずれかの業務プロセスに紐づくものと捉えます。
例えば、社員食堂の食事品質に関する事項は総務管理プロセスに該当します。

4 管理要素
4.1 管理要素とその定義
管理要素は全部で 20 項目あり、目的、適用範囲、責任分担、用語定義、業務内容、支援文書などが含まれます。

4.1.1 目的
規定を制定することで達成したい目標と効果のことです。
例:『顧客苦情対応管理手順書』内の 1 目的。

4.1.2 適用範囲
当該規定が対象とする業務活動の境界線のことです。
例:『顧客苦情対応管理手順書』内の 2 適用範囲。

4.1.3 責任分担
規定に関わる人員それぞれが担う業務内容、責任範囲及び権限の境界のことです。
例:『顧客苦情対応管理手順書』内の 3 責任分担。

4.1.4 用語定義
規定内で使用される専門用語の解釈と定義のことです。
例:『顧客苦情対応管理手順書』内の 4 用語定義。

4.1.5 業務内容
規定に定められた業務フローを詳細に記述した内容のことです。
例:『顧客苦情対応管理手順書』内の 5 業務内容。

4.1.6 支援文書
二次文書である手順書は、一次文書の品質マニュアルに記載された品質方針を具体的な管理方針に落とし込んだもので、直接実行しにくい内容となっています。一方、手順書の支援文書である管理要領は、管理方針を実行細則にまとめた文書で、現場担当者向けの作業指導書として活用されます。
例:『営業管理手順書』内の 6 支援文書。

4.1.7 作業帳票
当該プロセスにおける企画業務の記録帳票のことです。
例:『研修管理手順書』内の 7 作業帳票。

4.1.8 実績記録票
当該プロセスの実施業務に関する記録帳票のことです。
例:『顧客苦情対応管理手順書』内の 8 実績記録票。

4.1.9 統計表
当該プロセスで発生した業務データを集計した帳票のことです。
例:『顧客苦情対応管理手順書』内の 9 統計表。

4.1.10 分析表
業務データを区分別に整理し、推移の把握や異常点の発見に用いる資料のことです。
例:『顧客苦情対応管理手順書』内の 10 分析表。

4.1.11 台帳
当該プロセスに関する情報を一件ずつ記録した管理帳簿のことです。
例:『営業販売管理手順書』内の 11 台帳。

4.1.12 契約書
当該プロセスに関連する顧客及び仕入先と締結した契約文書のことです。
例:『営業管理手順書』内の 12 契約書。

4.1.13 添付資料
共通の分類基準に該当しない関連資料をまとめたもののことです。
例:『営業管理手順書』内の 13 添付資料。

4.1.14 承認権限
当該プロセス内の文書作成・審査・承認に関するルールのことです。
例:『財務管理手順書』内の 14 承認権限。

4.1.15 必須知識・行動規範
業務従事者が習得・遵守すべき基準のことです。制度を法律に例えるなら、必須知識・行動規範は道徳に相当します。各文書内の 5 業務内容は法律的な強制ルール、15 必須知識・行動規範は現場の自律的な基準となります。
例:倉庫内荷物の積載高さ 2 メートル制限は業務内容に該当し、荷物を整然と積むといった基準は必須知識・行動規範に該当します。
4.1.16 研修教材
当該プロセスにて実施する必要のある研修内容のことです。
例:『顧客苦情対応管理手順書』内の 16 研修教材。

4.1.17 外部受領文書
取引先など関係者から当社に提出された文書のことです。
例:『内部品質監査管理手順書』内の 17 外部受領文書。

4.1.18 外部提出文書
当社から各関係者へ提出する文書のことです。
例:『顧客苦情対応管理手順書』内の 18 外部提出文書。

4.1.19 改正意見
業務運用における不備点を集約し、管理レビュー時にまとめて文書改正を行うための記録のことです。
例:『顧客苦情対応管理手順書』内の 19 改正意見。

4.1.20 継続的改善
現時点では実施困難な事項を記録し、今後環境が整い次第実行に移すための項目のことです。
例:『生産計画管理手順書』内の 20 継続的改善。

4.2 管理要素とプロセスの関係
管理要素は鍵、業務プロセスはキーホルダーに例えられます。キーホルダーを持ち上げれば、全ての鍵が一緒についてくるように、要素が漏れることはありません。
4.2.1 管理手順書と管理要領の文書体系は、各種管理要素によって構成されています。

4.2.2 業務プロセスは管理手順書と管理要領によって成り立っています。
例えば C02 製品先行企画プロセスを対象とする際、同プロセスの管理手順書・管理要領、さらに紐付く全ての管理要素が一体となって運用されます。

体系管理は企業の長期的な経営理念です。一朝一夕で完了する事業ではなく、絶え間なく最適化を進める長期的な取り組みとなります。短期的に売上高を急増させることは難しくても、企業の経営運営システムを複雑な市場環境の中で安定稼働させ、品質の安定化、業務効率の向上、コストの適正管理、リスク耐性の強化を持続的に実現できます。
体系管理の本質は、企業に自発的に成長・改善し続ける仕組みを構築することです。全業務に標準が定められ、全ての問題に解決ルートが設けられ、全ての判断がデータに基づいて行われるようになれば、企業の運営体制は不断に進化し続けます。製造業の厳しい競争環境の中で安定した地位を築き、規模拡大から実力強化へと確実に転換することが可能となります。